年上の部下のことで、悩んでいませんか?

  • 社歴も年齢も上の人に指示を出すとき、緊張する
  • 気を悪くさせないかと、メール一通にも時間がかかる
  • 指示を出しても「前はこうしていたけどね」と返される
  • 会議で意見がぶつかる、距離を置かれている気がする

年上の部下を持ったとき、そんな緊張ややりにくさを感じる人は少なくありません。相手の本音が見えないまま、どこまで言っていいのか迷ってしまいますよね。

結論

年上の部下は、年下の上司に反発したいとは限りません。本音は「これまでの経験を軽く見ないでほしい」「どう接すればいいのか、こちらも迷っている」というものかもしれません。

役割ははっきり、言葉づかいはていねいに、経験には頼る。この3つを意識するだけで、関係はずいぶん落ち着いてきます。

この記事でわかること

  • 年上の部下が抱えている6つの本音
  • やりにくさを感じやすい場面と、その原因
  • 呼び方・敬語・頼み方・注意のしかたの例文
  • 年上の部下の経験を、チームに生かしてもらう方法
  • 遠慮しすぎ・やりすぎにならないための注意
この記事の目次閉じる開く
  1. 年上の部下が抱えている6つの本音
    1. 1. 経験を軽く見られたくない
    2. 2. 年下の上司との距離のとり方に、向こうも迷っている
    3. 3. 慣れたやり方を変えることに不安がある
    4. 4. 立場が変わったことに、気持ちが追いついていない
    5. 5. 何を期待されているのか、はっきり言ってほしい
    6. 6. これからの働き方に、不安を抱えている
  2. 年上部下とのやりにくさ、よくある場面と原因
    1. 何度伝えても、指示どおりに動いてもらえないとき
  3. 年上部下への言葉づかいと頼み方(例文つき)
    1. 呼び方と敬語の基本
    2. 仕事を頼むときは「目的・期限・期待」をセットで
    3. 注意するときは、人前を避けて事実から
    4. 意見がぶつかったときは「聞く・決める・理由を伝える」
    5. 雑談では、教えてもらう側に回る
  4. 年上の部下の経験を生かしてもらう方法
    1. 得意なことを「役割」にする
    2. 決める前に、知恵を借りる
    3. 新しいやり方は「試してもらう」形で始める
    4. 感謝は具体的に伝える
    5. 面談では、これからの働き方の希望を聞く
  5. 年上の部下に、やってはいけないこと
  6. ひとりで悩みを抱えないために
  7. よくある質問
  8. まとめ

年上の部下が抱えている6つの本音

年上の部下との関係がぎくしゃくするとき、相手の気持ちが見えないことが多いものです。まずは、年上の部下の側から見た本音を知っておきましょう。

同僚
年上の部下も、距離のとり方に迷っています

1. 経験を軽く見られたくない

長く働いてきた人には、失敗から学んだことや、言葉にしにくいコツがたくさんあります。それを知らないまま新しいやり方を決められると、「自分の経験は必要とされていない」と感じてしまいます。

反発しているように見える言葉も、実は「経験も聞いてほしい」という気持ちの表れのことがあります。

2. 年下の上司との距離のとり方に、向こうも迷っている

やりにくさを感じているのは、あなただけではありません。年上の部下もまた、「どこまで意見を言っていいのか」「なれなれしくしてはいけないのでは」と迷っています。

よそよそしく見える態度は、あなたを避けているのではなく、ちょうどよい距離を探している途中なのかもしれません。

3. 慣れたやり方を変えることに不安がある

長く続けてきたやり方には、それなりの理由と安心感があります。新しい道具や手順に変わると、うまくできない自分を周りに見せることになり、不安を感じる人もいます。

「前はこうだった」という言葉は、変化への不安から出てくることも多いものです。

4. 立場が変わったことに、気持ちが追いついていない

かつての後輩が上司になった、自分は昇進の機会を逃したと感じている、という場合もあります。頭ではわかっていても、気持ちの整理に時間がかかるのは自然なことです。

このとき、上司が得意げにふるまったり、反対に気をつかいすぎたりすると、かえって溝が深まります。

5. 何を期待されているのか、はっきり言ってほしい

年上の部下ほど、自分の役割があいまいなことに居心地の悪さを感じます。「ベテランだから任せておけば大丈夫」と思って何も言わずにいると、「期待されていない」と受け取られることもあるのです。

6. これからの働き方に、不安を抱えている

体力の変化、家族の介護、定年後の働き方。年上の部下は、若い世代とは違う悩みを抱えていることがあります。仕事への熱意が下がったように見えるときも、背景にこうした事情があるのかもしれません。

シンパンくんからあなたへ

年上の部下も、年下の上司との距離感に迷っていることが多いんだ。やりにくいのは、お互いさまかもしれないね。

年上部下とのやりにくさ、よくある場面と原因

やりにくさは、相手の性格ではなく、伝え方や役割のあいまいさから生まれていることもあります。よくある場面ごとに、すれ違いの原因と、変えてみたいことをまとめました。

よくある場面すれ違いの原因変えてみること
前のやり方にこだわる変える理由が伝わっていない理由を先に話す
会議で反対される決める前に聞かれていない事前に意見をもらう
指示どおりに動かない頼み方があいまい目的と期限を伝える
報告がない任されたと思っている報告の目安を決める
よそよそしい距離のとり方を迷っている短い雑談を増やす

「年上だから難しい」ではなく、「何が伝わっていないのか」と考えると、手の打ちようが見えてきます。

「言うことを聞いてくれない」と感じるときも、実は指示の目的や期限が伝わっていないだけ、ということがよくあります。報告が来ない場合の関わり方は、報連相をしない部下の本音でくわしく紹介しています。

何度伝えても、指示どおりに動いてもらえないとき

同じお願いを何度しても変わらないときは、強い口調で言い直す前に、伝え方を一度見直してみましょう。指示が口頭だけだった、期限があいまいだった、ということも少なくありません。

それでも変わらないときは、二人で話す時間をとり、「〇〇の手順が、ここ数回、前のやり方に戻っていました。どこか、やりにくいところがありますか」と、事実を挙げて理由を聞きます。責めるためではなく、理由を知るための質問にするのがポイントです。

理由を聞いても状況が変わらず、仕事に影響が出ているなら、ひとりで抱えずに自分の上司にも相談しましょう。さらに上の立場の人から役割を伝えてもらうことで、すんなり受け入れてもらえる場合もあります。

意見が違ったあとの空気
すれ違いの原因は、伝え方にあることも

年上部下への言葉づかいと頼み方(例文つき)

呼び方と敬語の基本

呼び方は「〇〇さん」、言葉づかいは「です・ます」のていねい語を基本にしましょう。社内で決まった呼び方があれば、それに従います。

呼び捨てや「くん」付けは、本人が気にしていないように見えても、周りが聞いて違和感をもつことがあります。敬語を使うことと、上司として指示を出すことは、両立します。ていねいに話しながらも、お願いの中身ははっきり言い切りましょう。

仕事を頼むときは「目的・期限・期待」をセットで

年上の部下に遠慮して、「もしよければ」「時間があるときに」とあいまいに頼むと、相手はどのくらい急ぐ仕事なのかがわかりません。何のための仕事か、いつまでに必要か、なぜその人に頼むのかを、まとめて伝えましょう。

仕事を頼むときの例
あなた

〇〇さん、来月の展示会の準備をお願いできますか。取引先の対応に慣れている〇〇さんに、当日の案内役をお任せしたいんです。段取りは、金曜日までに一度すり合わせさせてください。

相手

わかりました。去年の資料があるので、それをもとに案を出しますね。

注意するときは、人前を避けて事実から

注意や指摘は、ほかの人がいない場所で伝えます。「〇〇の書類、先方への提出が一日遅れました。次からは、遅れそうなときに前日までに一言もらえると助かります」のように、起きた事実、その影響、次へのお願いの順で話すと、角が立ちにくくなります。

「〇〇さんほどの方なのに」「ベテランなんですから」のように、年齢や経験を持ち出す言い方は避けましょう。相手のプライドを傷つけ、注意の中身が伝わらなくなります。

意見がぶつかったときは「聞く・決める・理由を伝える」

年上の部下から反対意見が出たときは、まず最後まで聞きます。そのうえで、決めるのは上司の役割です。決めたら、なぜそうしたのかを短く伝えましょう。

意見がぶつかったときの伝え方の例
あなた

ご意見ありがとうございます。今のやり方のよさも、よくわかりました。今回は、ほかの部署と足並みをそろえたいので、新しい手順で進めさせてください。使いにくいところが出てきたら、すぐに教えていただけると助かります。

意見を聞いてもらえたうえで決まったことなら、年上の部下も納得しやすくなります。

雑談では、教えてもらう側に回る

業務の指示や確認以外でも距離を縮めたいときは、相手が詳しいことを教えてもらう形の雑談が向いています。「〇〇さんが入ったころは、この仕事をどうやって回していたんですか」「この取引先とは、長いお付き合いなんですか」といった質問です。

年上の部下にとって、自分の経験を話せる時間は、大切にされていると感じられる時間でもあります。年齢や体力をネタにした冗談は、親しみのつもりでも避けておきましょう。

対等に話し合う
立場が違っても、対等に話し合う姿勢が信頼につながります

年上の部下の経験を生かしてもらう方法

年上の部下の経験は、うまく生かせばチームの大きな力になります。経験を「尊重する」だけでなく、仕事の中で「使ってもらう」ことを考えてみましょう。

得意なことを「役割」にする

新人の教え役、取引先との調整役、仕上がりの最終チェック役など、その人の経験が生きる役割をはっきり任せましょう。「〇〇さんにしかお願いできない」と伝えると、チームの中に自分の居場所があると感じてもらえます。

決める前に、知恵を借りる

新しいことを始める前に、「過去に似たことをしたとき、どこでつまずきましたか」と聞いてみましょう。年上の部下が持っている失敗の記憶は、チームが同じつまずきを避けるための貴重な手がかりになります。

ただし、聞くことと任せきりにすることは違います。意見をもらったうえで、最後に決めるのは上司の仕事です。

新しいやり方は「試してもらう」形で始める

やり方を変えるときは、いきなり「今日からこれで」と切り替えるより、「まず1週間、新しい手順で試してみて、使いにくいところを教えてもらえますか」とお願いしてみましょう。

意見を言える余地があると、変化への不安がやわらぎます。出てきた意見で手順を直せば、その人も新しいやり方の作り手の一人になります。

感謝は具体的に伝える

「いつもありがとうございます」だけでなく、「〇〇さんが先方に一本電話を入れてくださったおかげで、話がまとまりました」と、何に助けられたのかを具体的に伝えましょう。経験が役に立ったことが伝わると、年上の部下のやる気につながります。

面談では、これからの働き方の希望を聞く

年上の部下は、この先どんな形で働いていきたいかについて、人には言いにくい考えを持っていることがあります。面談の場で、「これから、どんな形でチームに関わっていきたいですか」と聞いてみましょう。

後輩を育てたい、専門の仕事を深めたい、負担の大きい仕事は少し減らしたい。希望がわかれば、任せる役割も考えやすくなります。家庭や体調のことは、本人が話したときに聞く程度にとどめましょう。

関わり方を変えてしばらくすると、年上の部下の様子にも少しずつ変化が出てきます。次のような様子が見えてきたら、関係は良い方向に回り始めていると考えてよいでしょう。

関係がうまく回り始めているサイン

  • 年上の部下のほうから、相談や提案をしてくれる
  • 会議で、反対だけでなく「こうしたらどうか」という案が出る
  • 若手の困りごとに、自分から手を貸してくれる
  • 仕事以外の短い雑談が、自然に増えてきた
  • 頼んだ仕事について、途中で様子を知らせてくれる
一緒にできて距離が縮まる
少しずつ、頼り合える関係に

年上の部下に、やってはいけないこと

遠慮しすぎても、やりすぎても、関係はこじれます。次のような接し方は避けましょう。

年上の部下との関係をこじらせる接し方

  • 年齢をからかう、「ベテランなんだから」と年齢を持ち出す
  • 遠慮して、指示や期限をあいまいにする
  • 必要な注意をせず、問題を見て見ぬふりをする
  • 前の上司や、これまでのやり方を頭から否定する
  • ほかの部下の前で、上司であることを強調する
  • 年齢を理由に、新しい仕事や研修から外す

遠慮して何も言わずにいると、年上の部下は「もう期待されていない」と受け取ることもあります。注意されなくなった側がどう感じるかは、部下の立場から書いた上司が怒らなくなったのは見放されたサイン?本音の見分け方と信頼を取り戻す方法が手がかりになります。

年上の部下の口数が急に減った、先の仕事の話を避けるようになった、という変化が見えるときは、部下が辞めたいと思っているサインも参考にしてください。部下の本音を聞く関わり方全般は、部下の本音がわからない上司へで紹介しています。

年上の部下から、次のようなことが続く場合は、ひとりで抱え込まないでください。部下から上司への言動でも、ハラスメントにあたる場合があります。

  • 大声で責められる
  • 指示をわざと無視される
  • 人前でばかにされる

まずは自分の上司や人事、社内の相談窓口に状況を伝えましょう。社内の窓口だけでは解決しにくいときは、都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーに問い合わせる方法もあります。

ひとりで悩みを抱えないために

年上の部下との関係は、うまくいかなくても周りに相談しにくいものです。「年下の上司だから仕方ない」と思われそうで、自分の上司にも言い出せない人もいるでしょう。

社外の人に話を聞いてもらうと、気持ちが整理され、次にどう声をかけるかを落ち着いて考えられることがあります。

よくある質問

年上の部下に、くだけた言葉で話されたらどうすればいいですか?

仕事に差しつかえがなければ、無理に直してもらう必要はありません。ほかの人の前などでけじめが必要な場面だけ気になるなら、二人で話せるときに「会議の場では、お互いていねいに話しましょう」と軽く提案してみましょう。

元上司が自分の部下になりました。どう接すればいいですか?

最初に二人で話す時間をつくり、「これまでたくさん教えていただいたので、正直、やりにくさもあります。でも、〇〇さんの力を借りたいと思っています」と、率直に伝えてみましょう。気まずさを言葉にすると、お互いに肩の力が抜けることがあります。

年上の部下が、新しいやり方を覚えようとしません。

覚えない理由が、不安なのか、変える必要性がわからないのかで、関わり方が変わります。まずは変える理由を伝え、使い方を一緒に確かめる時間をとりましょう。わからないことを人前で聞きにくい人もいるので、個別に声をかけるのがおすすめです。

年上の部下が、ほかの部下の前で私の意見に反論してきます。

その場で言い負かそうとせず、「大事な点なので、このあとくわしく聞かせてください」と受け止めて、二人で話す時間をとりましょう。二人のときは反論の中身をきちんと聞いたうえで、会議での伝え方についても率直に相談してみてください。

年上の部下に、評価を伝えるのが気まずいです。

評価は年齢に対してではなく、任せている役割に対してするものです。よかった点を先に具体的に伝え、そのうえで次に期待することを話せば、失礼にはなりません。

まとめ

年上の部下と働くうえで、大切にしたいことを振り返ります。

  • 年上の部下は、反発したいとは限らない。本音は「経験を軽く見ないでほしい」「どう接すればいいか迷っている」かもしれない
  • やりにくさは、伝え方や役割のあいまいさから生まれることもある
  • 呼び方は「さん」付け、言葉づかいはていねいに。指示ははっきり伝えてよい
  • 頼むときは目的・期限・期待をセットで、注意は人前を避けて事実から
  • 得意なことを役割にし、決める前に知恵を借り、感謝は具体的に伝える
  • 遠慮しすぎず、年齢を持ち出さない

年齢の上下より、お互いの役割を尊重し合えるかどうかが、気持ちよく働けるかを決めます。まずは一つ、年上の部下に「教えてほしいこと」を聞いてみてください。

シンパンくんからあなたへ

年上の部下との関係は、最初はぎこちなくて当たり前だよ。役割ははっきり、言葉はていねいに。それを続けていけば、頼り合える関係に少しずつ近づいていけるよ。