
部下の報連相で、困っていませんか?
- 締め切りの前日に「実は間に合いそうにありません」
- 取引先からの電話で、部下のミスを初めて知る
- 「どうしてもっと早く言ってくれなかったの」と思う
- 何度「報連相を大切に」と伝えても、なかなか変わらない
思わずため息をついたことのある上司の方も、いるでしょう。報連相(報告・連絡・相談)をしない部下に、どう関わればいいのか悩みますよね。
結論
報連相をしない部下が、さぼっているとは限りません。「怒られたくない」「今は声をかけにくい」「どこまで言えばいいのかわからない」と、言い出せない理由を抱えていることもあります。
報連相は、部下の心がけだけで身につくものではありません。上司の受け止め方と、報告しやすい仕組みがそろって、はじめて自然に回り始めます。
この記事でわかること
- 部下が報連相をしない6つの本音
- 部下の報連相を減らしてしまう、上司の反応
- 報告・連絡・相談それぞれの、つまずきやすいところと仕組み
- 自然に相談してもらえる声かけの例文
- 報連相が急に減ったときに考えたいこと
この記事の目次閉じる開く
部下が報連相をしない6つの本音
報連相をしない部下を見ると、「やる気がない」「社会人としての基本ができていない」と感じるかもしれません。けれども、部下の側から見ると、それぞれに言い出せない事情があります。

1. 悪い知らせほど、叱られるのが怖い
ミスや遅れを報告すれば、叱られるかもしれない。そう思うと、部下は「自分でなんとか取り戻してから言おう」と考えます。その結果、報告が遅れ、問題が大きくなってから上司の耳に入るのです。
以前に報告したとき強く叱られたことがあると、次からは報告そのものをためらうようになります。
2. 声をかけるタイミングがつかめない
上司が電話中、会議続き、画面に集中している。そんな様子を見ると、部下は「今じゃないほうがいいかな」と待ち続けます。待っているうちに一日が終わり、報告は翌日に持ち越されてしまいます。
「自分の小さな用件で、上司の手を止めさせるのは申し訳ない」と遠慮する部下もいます。一度タイミングを逃すと、次に切り出すのはさらに気まずくなり、報告がどんどん後ろにずれていきます。
3. 伝える必要性が、ピンときていない
上司にとっては「当然知らせるべきこと」でも、部下にとってはそうではないことがあります。たとえば、取引先からの小さな要望や、作業の予定が半日ずれたこと。「これくらいは言わなくていい」と、部下なりに判断しているのです。
部下からは、上司がその情報を何に使うのかが見えていません。報告が遅れると誰が困るのかがわからなければ、急いで伝えようという気持ちにもなりにくいものです。
報告の基準が共有されていないと、上司と部下の「当たり前」がずれたままになります。
4. 自分の力で解決したい
相談するのは、できないと認めることのように感じる。早く一人前だと思われたい。そう考える部下は、困っていても相談せず、ひとりで抱え込みがちです。
責任感が強く、まじめな人ほど、この傾向があります。報連相をしないのは、やる気がないからではなく、むしろやる気があるからのこともあるのです。
5. 報告しても、反応がなかった
報告したのに「ああ、そう」で終わった。相談しても「自分で考えて」と返された。こうしたことが重なると、部下は報連相をする意味を感じられなくなります。
報告は、受け取った側の反応があってはじめて「してよかった」と思えるものです。
6. 前の職場と、やり方が違う
転職や異動で来たばかりの部下は、前の職場のやり方を基準にしていることがあります。「結果だけ伝えればよかった」「細かい連絡はチャットで流すのが普通だった」など、報連相の習慣は職場によって大きく違うものです。
この場合、部下に悪気はないことが多いです。「この職場では、こういうことも途中で伝えてほしい」と、やり方の違いを最初に説明するだけで、すぐに変わることもあります。

シンパンくんから
報連相をしない理由を聞いてみると、「言っていいのかわからなかった」という答えが返ってくることも多いんだ。さぼりと決めつける前に、理由を考えてみよう。
報連相が減る原因は、上司の反応にあることも
報連相が少ないと、つい部下の側の問題と考えがちです。けれども、部下が報連相をするかどうかは、それを受け止める上司の反応に大きく左右されます。まずは、ふだんの自分の反応を振り返ってみましょう。
部下の報連相を減らしてしまう反応
- 悪い報告に、いきなり「なんで?」と原因を問い詰める
- 「そんなことで、いちいち聞かないで」と言う
- 報告を聞いたのに、そのあと何の反応も返さない
- 人前で、報告の中身や遅れを責める
- 「報連相がなってない」と、何が足りないかを言わずに叱る
悪い報告ほど「言ってくれてありがとう」から
ミスや遅れの報告を受けたとき、最初の一言で、次の報告が来るかどうかが決まります。どんなに困った知らせでも、まずは「早めに言ってくれて助かった」と伝えましょう。
原因を確かめたり、注意したりするのは、対応が落ち着いてからで十分です。報告したことを責められなかった経験が、次の早い報告につながります。
すみません、〇〇社への見積もりで、金額をまちがえて送ってしまいました。
教えてくれてありがとう。早く気づけてよかった。
まずは先方に訂正の連絡を入れよう。文面を一緒に考えようか。
報告の途中で口を挟まない
部下が話している途中で「で、結論は?」とせかすと、部下は要点だけを急いで話そうとして、かえって大事なことを言い忘れます。話し終えるまで待ってから、わからなかったところを一つずつ質問しましょう。
報告に慣れていない部下ほど、話す順番を考えながら話しています。少し回りくどくても、最後まで聞いてもらえたという安心が、次の報告のしやすさにつながります。
手が離せないときは、時間を約束する
忙しいときに報告に来られると、つい生返事をしてしまいがちです。そんなときは、「今は手が離せないから、10分後にこちらから声をかけるね」と伝え、約束どおりに声をかけましょう。
上司のほうから声をかけに来てくれた、という経験が重なると、部下は「忙しそうでも、伝えていいんだ」と安心できるようになります。
自分の受け止め方がどうなっているかは、次の項目で振り返ってみてください。当てはまる項目が多いほど、部下は報連相をしやすくなります。
報連相しやすい上司かどうかの振り返り
- 悪い報告を受けたとき、最初に「ありがとう」と言えている
- 何をいつ伝えてほしいかを、言葉にして部下に伝えている
- 話しかけられやすい時間帯を、部下に知らせている
- 報告を受けたあと、その結果どうなったかを部下に返している
- 相談に来た部下に、「自分で考えて」だけで返していない

報告・連絡・相談ごとに、報告しやすい仕組みをつくる
ひとくちに報連相といっても、報告・連絡・相談では、部下がつまずくところが違います。どこでつまずいているかがわかると、上司が手を打つべきところも見えてきます。
| 種類 | つまずきやすいところ | 上司が決めておくこと |
|---|---|---|
| 報告 | 終わるまで黙っている | 途中で見せる日 |
| 連絡 | 小さな変更を伝えない | 共有すべきことの例 |
| 相談 | 迷っても抱え込む | 相談してよい目安 |
「これは必ず伝える」を具体的に決める
「何かあったら言ってね」では、何を伝えればいいのかが部下にはわかりません。次のように、具体的な基準を決めて共有しましょう。
- 締め切りに間に合わないかもしれないと思ったら、その日のうちに一言伝える
- 取引先から、金額や納期に関わる話が出たら、すぐに知らせる
- 30分考えても進め方が決まらないときは、相談する
- ほかの部署に関わる予定の変更は、チームのチャットにも書く
「早めに」「何かあったら」ではなく、「いつ」「何を」がわかる言葉で決めるのがポイントです。
伝えてほしい理由も、一緒に話す
基準を決めるときは、なぜそれを伝えてほしいのかも話しておきましょう。「途中で知らせてもらえれば、締め切りを先方と相談し直したり、ほかの人に手伝いを頼んだりできるから」と理由がわかると、部下の受け止め方が変わります。
報連相が「上司のための手間」ではなく、「困ったときに自分を守る方法」だとわかれば、部下も自分から伝えやすくなります。
報告の「型」を渡す
報告が苦手な部下は、何から話せばいいのかで迷っています。「結論、理由、次にすること」の順で話す、という型を渡すだけで、ぐっと報告しやすくなります。
たとえば、「〇〇の件、結論から言うと、納品が一日遅れそうです。理由は部品の入荷待ちです。今日中に先方へ連絡を入れます」という形です。紙に書いて渡しておくと、部下も安心して使えます。
相談のときは、「何に迷っているか」と「自分ならどうしたいか」をセットで話してもらうと、上司も答えやすくなります。「AとBで迷っています。私はAがいいと思うのですが、どうでしょうか」という形です。
途中で見せる日を、仕事を頼むときに決めておく
仕事を頼むときに、「水曜日の夕方に、途中まででいいので一度見せてね」と、中間で確かめる日をあらかじめ決めておきましょう。
途中で見せることが最初から決まっていれば、部下は「まだ終わっていないのに見せていいのか」と迷わずにすみます。方向のずれにも、早めに気づけます。
毎日5分の「確かめる時間」をつくる
朝の5分で、今日やることと、困りそうなことを一人ずつ一言で話す。そんな短い時間を決めておくと、部下は「いつ言おうか」と迷わずにすみます。
全員の前では話しにくそうな内容があれば、そのあと個別に「さっきの件、少し聞かせて」と声をかけましょう。
口で話すのが苦手な部下には、チャットやメモでもよいことにする
報告は口頭でするもの、と決めていると、話すのが苦手な部下には負担になります。短い報告ならチャットで、込み入った話は対面で、と使い分けを決めておくと、伝えるまでの気の重さが軽くなります。
在宅勤務の日は、顔が見えないぶん「今、連絡してもいいのか」がわかりにくくなります。朝に今日の予定、夕方に進み具合をチャットで一言ずつ書く、と形を決めておくと、報告が途切れにくくなります。
自然に相談してもらえる声かけの例文
仕組みを整えたうえで、ふだんの声かけを少し変えると、部下から話しかけてもらいやすくなります。場面ごとの声かけの例を紹介します。
仕事を頼むときの一言
「迷ったら、半分できたところで見せてね。途中で方向を確かめたほうが、お互いに楽だから」。頼むときにこう添えておくと、部下は途中で相談することを、悪いことだと思わなくなります。
進み具合を聞くときの一言
「どう?」とだけ聞くと、部下は「大丈夫です」と答えがちです。どこまで進んだかを聞き、困りそうなところを先に話題にすると、相談のきっかけが生まれます。
〇〇の資料、今どのあたりまで進んでる?
半分くらいです。ただ、数字の出し方で少し迷っていて……。
そこ、迷いやすいところだよね。今、5分だけ一緒に見ようか。
ありがとうございます。助かります。

報告を受けたあとの一言
報告を受けたら、「ありがとう」に加えて、その報告が何の役に立ったかを伝えましょう。「早めに教えてくれたから、先方に余裕をもって連絡できたよ」のような一言です。
報告がどう役に立ったかを知ると、部下は報連相の意味を自分の言葉で理解できるようになります。
報連相が急に減ったときは、別のサインかも
もともと報連相をしていた部下が、急にしなくなった場合は、事情が違うこともあります。仕事への不満や疲れ、上司との関係の変化、あるいは職場を離れることを考え始めているのかもしれません。
この場合は、仕組みを整えるより先に、部下の気持ちに目を向けることが大切です。辞めたいと思っている部下に出やすいサインと声のかけ方は、部下が辞めたいと思っているサインでくわしく紹介しています。
部下の本音そのものがつかめないときは、部下の本音がわからない上司へも参考にしてください。年上の部下が報告してくれない場合は、遠慮や役割のあいまいさが関わっていることもあります。接し方のポイントは年上の部下の本音で紹介しています。
上司ではなく先輩の立場で、後輩が報告に来ない、態度がそっけないと感じているときは、後輩の態度が冷たい本音が参考になります。
上司ひとりで抱え込まないために
何度伝えても変わらない部下を前にすると、上司のほうが疲れてしまいます。自分の伝え方が悪いのか、相性の問題なのか、と考え込んでしまう人もいるでしょう。

同じ立場の管理職や人事に相談できればいちばんですが、部下のことは社内で話しにくいものです。社外の人に聞いてもらうと、自分の関わり方を落ち着いて見直せることがあります。
よくある質問
何度伝えても、報連相をしない部下にはどうすればいいですか?
「報連相をして」とくり返すより、何を、いつ、どう伝えるかを具体的に決めて、紙やチャットで共有しましょう。そのうえで、できたときに「助かった」と伝え続けると、少しずつ習慣になっていきます。
反対に、報告や相談が多すぎる部下には?
自分で判断してよい範囲を決めて伝えましょう。「〇〇までは任せるから、終わったら結果だけ教えて」と線を引くと、部下も迷わずにすみます。相談が多いのは不安が大きいサインのこともあるので、責めずに任せる範囲を少しずつ広げていきます。
新人が、報連相のタイミングをつかめていません。
最初のうちは、上司のほうから「今日の分、どこまで進んだか教えて」と毎日聞きに行き、伝え方の見本を見せましょう。慣れてきたら、少しずつ部下から伝えてもらう形に切り替えていきます。
悪い報告を受けると、つい感情的になってしまいます。
その場で言葉を返すと強くなりそうなときは、「わかった、少し整理してから話そう」と一度区切りましょう。対応の順番を考えてから話すだけでも、部下の受け取り方は大きく変わります。
報連相は部下がするもの。上司から聞きに行くのは甘やかしでは?
報連相が自然にできるようになるまでは、上司から声をかけるのも仕事の一部と考えてよいでしょう。上司から聞きに行くことで、部下は「どのタイミングで、何を伝えればいいか」を学んでいきます。
まとめ
報連相をしない部下に悩んだときに、覚えておきたいことをまとめます。
- 報連相をしないのは、さぼりとは限らない。「言い出せない理由」があることもある
- 叱られる怖さ、声のかけにくさ、基準のあいまいさ、ひとりで解決したい気持ちが主な理由
- 悪い報告ほど、まず「言ってくれてありがとう」と受け止める
- 「必ず伝えること」と「途中で見せる日」を具体的に決めておく
- 報告の型を渡し、チャットやメモでもよいことにする
- 急に報連相が減ったときは、不満や疲れ、辞めたい気持ちのサインのこともある
報連相は、部下に求めるだけのものではなく、上司と部下で一緒に育てていくものです。まずは次の報告を、「ありがとう」の一言で受け止めるところから始めてみてください。

シンパンくんから
報連相の仕組みは、一度で完成しなくて大丈夫。部下と一緒に「これは伝えてほしい」を一つずつ増やしていけば、チームの空気も少しずつやわらかくなっていくよ。



