部下の報連相で、困っていませんか?

  • 締め切りの前日に「実は間に合いそうにありません」
  • 取引先からの電話で、部下のミスを初めて知る
  • 「どうしてもっと早く言ってくれなかったの」と思う
  • 何度「報連相を大切に」と伝えても、なかなか変わらない

思わずため息をついたことのある上司の方も、いるでしょう。報連相(報告・連絡・相談)をしない部下に、どう関わればいいのか悩みますよね。

結論

報連相をしない部下が、さぼっているとは限りません。「怒られたくない」「今は声をかけにくい」「どこまで言えばいいのかわからない」と、言い出せない理由を抱えていることもあります。

報連相は、部下の心がけだけで身につくものではありません。上司の受け止め方と、報告しやすい仕組みがそろって、はじめて自然に回り始めます。

この記事でわかること

  • 部下が報連相をしない6つの本音
  • 部下の報連相を減らしてしまう、上司の反応
  • 報告・連絡・相談それぞれの、つまずきやすいところと仕組み
  • 自然に相談してもらえる声かけの例文
  • 報連相が急に減ったときに考えたいこと
この記事の目次閉じる開く
  1. 部下が報連相をしない6つの本音
    1. 1. 悪い知らせほど、叱られるのが怖い
    2. 2. 声をかけるタイミングがつかめない
    3. 3. 伝える必要性が、ピンときていない
    4. 4. 自分の力で解決したい
    5. 5. 報告しても、反応がなかった
    6. 6. 前の職場と、やり方が違う
  2. 報連相が減る原因は、上司の反応にあることも
    1. 悪い報告ほど「言ってくれてありがとう」から
    2. 報告の途中で口を挟まない
    3. 手が離せないときは、時間を約束する
  3. 報告・連絡・相談ごとに、報告しやすい仕組みをつくる
    1. 「これは必ず伝える」を具体的に決める
    2. 伝えてほしい理由も、一緒に話す
    3. 報告の「型」を渡す
    4. 途中で見せる日を、仕事を頼むときに決めておく
    5. 毎日5分の「確かめる時間」をつくる
    6. 口で話すのが苦手な部下には、チャットやメモでもよいことにする
  4. 自然に相談してもらえる声かけの例文
    1. 仕事を頼むときの一言
    2. 進み具合を聞くときの一言
    3. 報告を受けたあとの一言
  5. 報連相が急に減ったときは、別のサインかも
  6. 上司ひとりで抱え込まないために
  7. よくある質問
  8. まとめ

部下が報連相をしない6つの本音

報連相をしない部下を見ると、「やる気がない」「社会人としての基本ができていない」と感じるかもしれません。けれども、部下の側から見ると、それぞれに言い出せない事情があります。

書類を持って、仕事中の相手に話しかける
報告したくても、切り出せずにいることも

1. 悪い知らせほど、叱られるのが怖い

ミスや遅れを報告すれば、叱られるかもしれない。そう思うと、部下は「自分でなんとか取り戻してから言おう」と考えます。その結果、報告が遅れ、問題が大きくなってから上司の耳に入るのです。

以前に報告したとき強く叱られたことがあると、次からは報告そのものをためらうようになります。

2. 声をかけるタイミングがつかめない

上司が電話中、会議続き、画面に集中している。そんな様子を見ると、部下は「今じゃないほうがいいかな」と待ち続けます。待っているうちに一日が終わり、報告は翌日に持ち越されてしまいます。

「自分の小さな用件で、上司の手を止めさせるのは申し訳ない」と遠慮する部下もいます。一度タイミングを逃すと、次に切り出すのはさらに気まずくなり、報告がどんどん後ろにずれていきます。

3. 伝える必要性が、ピンときていない

上司にとっては「当然知らせるべきこと」でも、部下にとってはそうではないことがあります。たとえば、取引先からの小さな要望や、作業の予定が半日ずれたこと。「これくらいは言わなくていい」と、部下なりに判断しているのです。

部下からは、上司がその情報を何に使うのかが見えていません。報告が遅れると誰が困るのかがわからなければ、急いで伝えようという気持ちにもなりにくいものです。

報告の基準が共有されていないと、上司と部下の「当たり前」がずれたままになります。

4. 自分の力で解決したい

相談するのは、できないと認めることのように感じる。早く一人前だと思われたい。そう考える部下は、困っていても相談せず、ひとりで抱え込みがちです。

責任感が強く、まじめな人ほど、この傾向があります。報連相をしないのは、やる気がないからではなく、むしろやる気があるからのこともあるのです。

5. 報告しても、反応がなかった

報告したのに「ああ、そう」で終わった。相談しても「自分で考えて」と返された。こうしたことが重なると、部下は報連相をする意味を感じられなくなります。

報告は、受け取った側の反応があってはじめて「してよかった」と思えるものです。

6. 前の職場と、やり方が違う

転職や異動で来たばかりの部下は、前の職場のやり方を基準にしていることがあります。「結果だけ伝えればよかった」「細かい連絡はチャットで流すのが普通だった」など、報連相の習慣は職場によって大きく違うものです。

この場合、部下に悪気はないことが多いです。「この職場では、こういうことも途中で伝えてほしい」と、やり方の違いを最初に説明するだけで、すぐに変わることもあります。

シンパンくんからあなたへ

報連相をしない理由を聞いてみると、「言っていいのかわからなかった」という答えが返ってくることも多いんだ。さぼりと決めつける前に、理由を考えてみよう。

報連相が減る原因は、上司の反応にあることも

報連相が少ないと、つい部下の側の問題と考えがちです。けれども、部下が報連相をするかどうかは、それを受け止める上司の反応に大きく左右されます。まずは、ふだんの自分の反応を振り返ってみましょう。

部下の報連相を減らしてしまう反応

  • 悪い報告に、いきなり「なんで?」と原因を問い詰める
  • 「そんなことで、いちいち聞かないで」と言う
  • 報告を聞いたのに、そのあと何の反応も返さない
  • 人前で、報告の中身や遅れを責める
  • 「報連相がなってない」と、何が足りないかを言わずに叱る

悪い報告ほど「言ってくれてありがとう」から

ミスや遅れの報告を受けたとき、最初の一言で、次の報告が来るかどうかが決まります。どんなに困った知らせでも、まずは「早めに言ってくれて助かった」と伝えましょう。

原因を確かめたり、注意したりするのは、対応が落ち着いてからで十分です。報告したことを責められなかった経験が、次の早い報告につながります。

悪い報告を受けたときの返し方の例
相手

すみません、〇〇社への見積もりで、金額をまちがえて送ってしまいました。

あなた

教えてくれてありがとう。早く気づけてよかった。

あなた

まずは先方に訂正の連絡を入れよう。文面を一緒に考えようか。

報告の途中で口を挟まない

部下が話している途中で「で、結論は?」とせかすと、部下は要点だけを急いで話そうとして、かえって大事なことを言い忘れます。話し終えるまで待ってから、わからなかったところを一つずつ質問しましょう。

報告に慣れていない部下ほど、話す順番を考えながら話しています。少し回りくどくても、最後まで聞いてもらえたという安心が、次の報告のしやすさにつながります。

手が離せないときは、時間を約束する

忙しいときに報告に来られると、つい生返事をしてしまいがちです。そんなときは、「今は手が離せないから、10分後にこちらから声をかけるね」と伝え、約束どおりに声をかけましょう。

上司のほうから声をかけに来てくれた、という経験が重なると、部下は「忙しそうでも、伝えていいんだ」と安心できるようになります。

自分の受け止め方がどうなっているかは、次の項目で振り返ってみてください。当てはまる項目が多いほど、部下は報連相をしやすくなります。

報連相しやすい上司かどうかの振り返り

  • 悪い報告を受けたとき、最初に「ありがとう」と言えている
  • 何をいつ伝えてほしいかを、言葉にして部下に伝えている
  • 話しかけられやすい時間帯を、部下に知らせている
  • 報告を受けたあと、その結果どうなったかを部下に返している
  • 相談に来た部下に、「自分で考えて」だけで返していない
疲れに気づいてくれる
上司から声をかけてもらえると、部下は話しやすくなります

報告・連絡・相談ごとに、報告しやすい仕組みをつくる

ひとくちに報連相といっても、報告・連絡・相談では、部下がつまずくところが違います。どこでつまずいているかがわかると、上司が手を打つべきところも見えてきます。

種類つまずきやすいところ上司が決めておくこと
報告終わるまで黙っている途中で見せる日
連絡小さな変更を伝えない共有すべきことの例
相談迷っても抱え込む相談してよい目安

「これは必ず伝える」を具体的に決める

「何かあったら言ってね」では、何を伝えればいいのかが部下にはわかりません。次のように、具体的な基準を決めて共有しましょう。

  • 締め切りに間に合わないかもしれないと思ったら、その日のうちに一言伝える
  • 取引先から、金額や納期に関わる話が出たら、すぐに知らせる
  • 30分考えても進め方が決まらないときは、相談する
  • ほかの部署に関わる予定の変更は、チームのチャットにも書く

「早めに」「何かあったら」ではなく、「いつ」「何を」がわかる言葉で決めるのがポイントです。

伝えてほしい理由も、一緒に話す

基準を決めるときは、なぜそれを伝えてほしいのかも話しておきましょう。「途中で知らせてもらえれば、締め切りを先方と相談し直したり、ほかの人に手伝いを頼んだりできるから」と理由がわかると、部下の受け止め方が変わります。

報連相が「上司のための手間」ではなく、「困ったときに自分を守る方法」だとわかれば、部下も自分から伝えやすくなります。

報告の「型」を渡す

報告が苦手な部下は、何から話せばいいのかで迷っています。「結論、理由、次にすること」の順で話す、という型を渡すだけで、ぐっと報告しやすくなります。

たとえば、「〇〇の件、結論から言うと、納品が一日遅れそうです。理由は部品の入荷待ちです。今日中に先方へ連絡を入れます」という形です。紙に書いて渡しておくと、部下も安心して使えます。

相談のときは、「何に迷っているか」と「自分ならどうしたいか」をセットで話してもらうと、上司も答えやすくなります。「AとBで迷っています。私はAがいいと思うのですが、どうでしょうか」という形です。

途中で見せる日を、仕事を頼むときに決めておく

仕事を頼むときに、「水曜日の夕方に、途中まででいいので一度見せてね」と、中間で確かめる日をあらかじめ決めておきましょう。

途中で見せることが最初から決まっていれば、部下は「まだ終わっていないのに見せていいのか」と迷わずにすみます。方向のずれにも、早めに気づけます。

毎日5分の「確かめる時間」をつくる

朝の5分で、今日やることと、困りそうなことを一人ずつ一言で話す。そんな短い時間を決めておくと、部下は「いつ言おうか」と迷わずにすみます。

全員の前では話しにくそうな内容があれば、そのあと個別に「さっきの件、少し聞かせて」と声をかけましょう。

口で話すのが苦手な部下には、チャットやメモでもよいことにする

報告は口頭でするもの、と決めていると、話すのが苦手な部下には負担になります。短い報告ならチャットで、込み入った話は対面で、と使い分けを決めておくと、伝えるまでの気の重さが軽くなります。

在宅勤務の日は、顔が見えないぶん「今、連絡してもいいのか」がわかりにくくなります。朝に今日の予定、夕方に進み具合をチャットで一言ずつ書く、と形を決めておくと、報告が途切れにくくなります。

自然に相談してもらえる声かけの例文

仕組みを整えたうえで、ふだんの声かけを少し変えると、部下から話しかけてもらいやすくなります。場面ごとの声かけの例を紹介します。

仕事を頼むときの一言

「迷ったら、半分できたところで見せてね。途中で方向を確かめたほうが、お互いに楽だから」。頼むときにこう添えておくと、部下は途中で相談することを、悪いことだと思わなくなります。

進み具合を聞くときの一言

「どう?」とだけ聞くと、部下は「大丈夫です」と答えがちです。どこまで進んだかを聞き、困りそうなところを先に話題にすると、相談のきっかけが生まれます。

途中で声をかけるときの例
あなた

〇〇の資料、今どのあたりまで進んでる?

相手

半分くらいです。ただ、数字の出し方で少し迷っていて……。

あなた

そこ、迷いやすいところだよね。今、5分だけ一緒に見ようか。

相手

ありがとうございます。助かります。

声をかけられて、話すのをためらう人
声をかけるタイミングを迷っている部下もいます

報告を受けたあとの一言

報告を受けたら、「ありがとう」に加えて、その報告が何の役に立ったかを伝えましょう。「早めに教えてくれたから、先方に余裕をもって連絡できたよ」のような一言です。

報告がどう役に立ったかを知ると、部下は報連相の意味を自分の言葉で理解できるようになります。

報連相が急に減ったときは、別のサインかも

もともと報連相をしていた部下が、急にしなくなった場合は、事情が違うこともあります。仕事への不満や疲れ、上司との関係の変化、あるいは職場を離れることを考え始めているのかもしれません。

この場合は、仕組みを整えるより先に、部下の気持ちに目を向けることが大切です。辞めたいと思っている部下に出やすいサインと声のかけ方は、部下が辞めたいと思っているサインでくわしく紹介しています。

部下の本音そのものがつかめないときは、部下の本音がわからない上司へも参考にしてください。年上の部下が報告してくれない場合は、遠慮や役割のあいまいさが関わっていることもあります。接し方のポイントは年上の部下の本音で紹介しています。

上司ではなく先輩の立場で、後輩が報告に来ない、態度がそっけないと感じているときは、後輩の態度が冷たい本音が参考になります。

上司ひとりで抱え込まないために

何度伝えても変わらない部下を前にすると、上司のほうが疲れてしまいます。自分の伝え方が悪いのか、相性の問題なのか、と考え込んでしまう人もいるでしょう。

少し距離を置いて休む
考え込みすぎたら、少しひと息ついて

同じ立場の管理職や人事に相談できればいちばんですが、部下のことは社内で話しにくいものです。社外の人に聞いてもらうと、自分の関わり方を落ち着いて見直せることがあります。

よくある質問

何度伝えても、報連相をしない部下にはどうすればいいですか?

「報連相をして」とくり返すより、何を、いつ、どう伝えるかを具体的に決めて、紙やチャットで共有しましょう。そのうえで、できたときに「助かった」と伝え続けると、少しずつ習慣になっていきます。

反対に、報告や相談が多すぎる部下には?

自分で判断してよい範囲を決めて伝えましょう。「〇〇までは任せるから、終わったら結果だけ教えて」と線を引くと、部下も迷わずにすみます。相談が多いのは不安が大きいサインのこともあるので、責めずに任せる範囲を少しずつ広げていきます。

新人が、報連相のタイミングをつかめていません。

最初のうちは、上司のほうから「今日の分、どこまで進んだか教えて」と毎日聞きに行き、伝え方の見本を見せましょう。慣れてきたら、少しずつ部下から伝えてもらう形に切り替えていきます。

悪い報告を受けると、つい感情的になってしまいます。

その場で言葉を返すと強くなりそうなときは、「わかった、少し整理してから話そう」と一度区切りましょう。対応の順番を考えてから話すだけでも、部下の受け取り方は大きく変わります。

報連相は部下がするもの。上司から聞きに行くのは甘やかしでは?

報連相が自然にできるようになるまでは、上司から声をかけるのも仕事の一部と考えてよいでしょう。上司から聞きに行くことで、部下は「どのタイミングで、何を伝えればいいか」を学んでいきます。

まとめ

報連相をしない部下に悩んだときに、覚えておきたいことをまとめます。

  • 報連相をしないのは、さぼりとは限らない。「言い出せない理由」があることもある
  • 叱られる怖さ、声のかけにくさ、基準のあいまいさ、ひとりで解決したい気持ちが主な理由
  • 悪い報告ほど、まず「言ってくれてありがとう」と受け止める
  • 「必ず伝えること」と「途中で見せる日」を具体的に決めておく
  • 報告の型を渡し、チャットやメモでもよいことにする
  • 急に報連相が減ったときは、不満や疲れ、辞めたい気持ちのサインのこともある

報連相は、部下に求めるだけのものではなく、上司と部下で一緒に育てていくものです。まずは次の報告を、「ありがとう」の一言で受け止めるところから始めてみてください。

シンパンくんからあなたへ

報連相の仕組みは、一度で完成しなくて大丈夫。部下と一緒に「これは伝えてほしい」を一つずつ増やしていけば、チームの空気も少しずつやわらかくなっていくよ。