
部下の本音が、つかめずにいませんか?
- 面談で「困っていることは?」と聞いても「特にありません」
- 飲み会でも、当たりさわりのない話ばかり
- 部下が本当は何を考えているのか、見当がつかない
- 突然、退職を切り出されて驚いたことがある
そんな悩みを抱える上司や先輩は、少なくありません。部下の本音がわからないままだと、仕事の任せ方や声のかけ方にも迷いが出てしまいますよね。
結論
部下が本音を言わないのは、上司を嫌っているからとは限りません。「本音を言っても大丈夫なのか」がわからず、様子を見ていることが多いのです。
本音は、面談でうまい質問をすれば出てくるものではなく、日ごろの関わりの中で「話しても大丈夫だった」という経験が積み重なって、少しずつ出てくるものです。
この記事でわかること
- 部下が本音を言わない6つの理由
- 報連相・表情・勤務の変化に出る、本音のサイン
- 本心を話してもらえる、日ごろの関わり方
- 面談で使える質問の例と、やってはいけないこと
- 辞めたいサインに気づいたときの対応
この記事の目次閉じる開く
部下が何を考えているかわからない…本音を言わない6つの理由
部下が本音を言わない理由は、一つではありません。まずは、部下の側から見た「言えない理由」を知っておきましょう。
ここでは上司と部下の関係で説明しますが、先輩と後輩の関係でも同じことが言えます。後輩の態度が冷たく感じるときの見分け方は、後輩の態度が冷たい本音で紹介しています。

1. 評価に響くのが怖い
上司は、部下の評価をつける立場です。部下からすると、「仕事がきつい」「この進め方は合わない」と言うことで、やる気がないと思われないか心配になります。
とくに、弱音や「できません」は、評価が下がりそうで言いにくいものです。そのため、困っていても「大丈夫です」と答えてしまうことがあります。
2. 言っても変わらないと思っている
以前、仕事のやり方の改善を提案したのに、「検討しておく」と言われたまま何も変わらなかった。そんな経験があると、部下は「言うだけむだ」と感じて、意見を言わなくなります。
本音を言わないのは、上司に関心がないからではなく、期待しなくなったからかもしれません。思い当たることがあれば、これまでに聞いた意見がその後どうなったかを振り返ってみましょう。
3. 上司が忙しそうで、声をかけにくい
上司が画面に向かって急いで手を動かしている。電話や会議が続いている。そんな姿を見ると、部下は「こんなことで時間をとらせては悪い」と、相談をためらいます。
話しかけられたときに、画面を見たまま「何?」と返したことはないでしょうか。上司にそのつもりがなくても、部下は「今は話しかけてはいけない」と受け取ってしまいます。
4. 上司との距離を感じている
年齢や立場に差があると、部下はどうしても身構えます。仕事の話以外をしたことがない、上司の考えや人柄をよく知らない、という関係では、本音を話すのは難しいものです。
部下が上司の態度をどう受け止めているかは、部下の立場から書いた上司が自分にだけ冷たい本音が参考になります。上司の短い返事や忙しそうな様子を、部下が「冷たい」と感じてしまう理由がわかります。
5. 何をどう話せばいいか、わからない
経験の浅い部下は、困っていても、何に困っているのかを言葉にできないことがあります。「どこがわからないのかが、わからない」という状態です。
この場合、「何か困ってる?」と聞かれても、「特にありません」と答えるしかありません。本音を隠しているのではなく、まだ言葉になっていないことが多いのです。
6. 周りの目や、職場の空気が気になる
人前で意見を言うと、同僚にどう思われるかが気になる。前に誰かが意見を言って、気まずい空気になったのを見たことがある。そんな職場では、本音は会議の場には出てきません。
本音を聞きたいなら、人前ではなく、1対1で話せる場をつくることが大切です。
仕事と私生活を分けたい人もいます
部下の中には、仕事と私生活をはっきり分けたいと考える人もいます。その場合、私生活の話をしないのは、上司を避けているからではないことが多いものです。
上司がまず知っておきたい本音は、仕事の困りごとや考えです。そこを話してもらえていれば、関係は十分に成り立っています。

シンパンくんから
本音を言わないのは、上司のことが嫌いだからとは限らないよ。「言っても大丈夫かな」と、様子を見ていることも多いんだ。
部下の本音が表れやすいサイン|報連相・表情・勤務の変化
部下は言葉で本音を言わなくても、ふだんの仕事ぶりに気持ちが表れていることがあります。大切なのは、その部下の「いつもの様子」と比べて、変化があるかどうかを見ることです。
| 見えた変化 | 考えられる本音 | まずかける一言 |
|---|---|---|
| 報告が遅れる | 言い出しにくいことがある | 途中でもいいから見せて |
| 「大丈夫です」が増えた | 困っても頼れない | 手が足りないところはある? |
| 会議で発言しない | 否定されるのが怖い | あとで意見を聞かせて |
| 残業が急に増えた | 仕事を抱え込んでいる | 今の仕事量、どう? |
| 急な休みが増えた | 体調や家庭の事情 | 無理していない? |
報告・連絡・相談の変化
報告・連絡・相談(いわゆる「報連相」)は、部下の気持ちが表れやすいところです。次のような変化がないか、見てみましょう。
報連相に出やすい変化
- 報告が遅れる、結果だけを伝えるようになった
- 相談がなくなり、「大丈夫です」が増えた
- 質問をしてこなくなった
- メールやチャットの文面が、短く事務的になった
- 会議で、意見を言わなくなった
報連相が減ったときは、部下が「上司に話しても仕方ない」「怒られるかもしれない」と感じている可能性があります。報告が減ったら、責める前に「報告しにくい理由があるのかもしれない」と考えてみることが大切です。
表情や、残業・休み方の変化
表情や勤務に出やすい変化
- 笑顔が減った、目を合わせなくなった
- ため息や、疲れた様子が目立つ
- 簡単なミスが続いている
- 残業が急に増えた、または定時ですぐ帰るようになった
- 遅刻や急な休みが増えた
当てはまることがあっても、それだけで「不満がある」「辞めるつもりだ」と決めつけないでください。体調や家庭の事情のこともあります。変化に気づいたら、責めるのではなく、声をかけるきっかけにしましょう。
部下の態度が急に変わったときは、仕事への不満やうわさ、私生活の事情など、同僚どうしの場合と共通する理由も考えられます。理由の見分け方は、同僚の態度が急に変わった本音も参考にしてください。
部下に避けられている気がする、嫌われているのではと不安なときは、職場の人間関係を整理できるこちらの診断も使ってみてください。
本音を話してもらえる関わり方
なかなか心を開かない部下にも、「話しても大丈夫だった」という経験が重なれば、少しずつ本音が出てくるようになります。日ごろからできる関わり方を紹介します。
1対1で話す時間を、定期的にとる
月に1回、15〜30分でかまいません。仕事の進み具合を確かめる場とは別に、部下の話を聞くための1対1の時間をつくりましょう。
正面で向かい合うより、机の角をはさんで座るなど、少し斜めの位置のほうが話しやすい人もいます。雑談から入り、仕事の話は後半に回すくらいがちょうどよいでしょう。
ふだんから、声をかけやすい雰囲気をつくることも大切です。話しかけられたら、手を止めて体を部下のほうに向ける。「午後3時以降なら空いてるよ」と、話しやすい時間を伝えておく。こうした小さなことで、相談するときの気の重さが軽くなります。

自分のことを、先に少し話す
上司のほうから、自分の失敗や、若いころに困ったことを少し話してみましょう。「私も最初のころは、報告のタイミングがわからなくて何度も注意されたんだ」という一言で、部下は「この人には話してもいいかもしれない」と感じやすくなります。
ただし、昔話や自慢話が長くなると逆効果です。自分の話は短くして、すぐに部下の話を聞く側に回りましょう。
否定せず、最後まで聞く
部下が話し始めたら、途中で「でも」「それは違う」とさえぎらず、最後まで聞くことを意識します。「そうか」「それで?」と相づちを打ち、「〇〇がやりにくいんだね」と言われたことをくり返すだけで、聞いてもらえたと感じてもらえます。
意見が違うときも、まずは「話してくれてありがとう」と受け止めてから、自分の考えを伝えましょう。最初の一言が否定だと、部下は次から本音を言わなくなります。

シンパンくんから
部下が話してくれたら、まずは「教えてくれてありがとう」。自分の意見を言うのは、そのあとでも遅くないよ。
話してくれたことに、行動で応える
部下の意見や困りごとを聞いたら、「検討しておく」で終わらせないことが大切です。できることは、いつまでにやるかを伝えて実行し、結果を報告しましょう。
すぐにはできないことや、さらに上の判断が必要なことは、その理由と今の状況を伝えます。「言ったら、ちゃんと返ってきた」という経験が、次の本音につながります。
面談で部下の本音を聞き出す質問の例と聞き方
面談は、部下の本音を聞く大切な機会です。ただし、聞き方を間違えると、「評価のための場」だと受け取られて、かえって本音が遠のきます。

面談の前に、目的を伝えておく
「来週の面談では、評価の話ではなく、今の仕事で困っていることを一緒に整理したい」と、前もって目的を伝えておきましょう。何を話すかがわかっていると、部下も考えをまとめてから来られます。
場所は、ほかの人に話が聞こえない部屋を選びます。オンラインで話す場合も、周りに人がいない時間を選んでもらいましょう。
話してもらいやすい質問の例
「何か不満はある?」のような大きな質問は、答えにくいものです。具体的で、短く答えられる質問から始めましょう。
- 「今の仕事で、いちばん時間がかかっているのはどれ?」
- 「最近の忙しさを10段階でいうと、どのくらい?」
- 「私の指示で、わかりにくかったことはある?」
- 「もし一つだけ仕事のやり方を変えられるとしたら、何を変えたい?」
- 「これから、挑戦してみたい仕事はある?」
「10段階でいうと」「一つだけ」のように、答えの形を決めた質問は、気持ちを言葉にしやすくします。数字が返ってきたら、「何があると一つ下がりそう?」と続けると、具体的な困りごとが見えてきます。
最近の忙しさ、10段階でいうとどのくらい?
うーん、7くらいですかね。
7か。何があると6に下がりそう?
資料の確認が重なるのが、ちょっとしんどくて。
教えてくれてありがとう。確認の順番、一緒に見直そう。
「特にありません」と言われたら
「特にありません」と言われても、がっかりしなくて大丈夫です。本当に問題がないこともあれば、まだ言葉にできていないだけのこともあります。
そんなときは、「もし新しく入った人が同じ仕事をするとしたら、どこでつまずきそう?」と、ほかの人の立場で聞いてみるのもひとつの方法です。自分のこととしては言いにくいことも、答えやすくなります。
無理に聞き出そうとせず、「思いついたら、いつでもチャットで送ってね」と伝えて終えましょう。面談のあとは、話した内容と約束したことを短くまとめて共有すると、「聞いてもらえた」という安心につながります。
部下の本音を聞きたくても、やってはいけないこと
本音を聞きたい気持ちが強いほど、つい踏み込みすぎてしまうことがあります。次のような関わり方は、部下の口を重くしてしまいます。
本音が遠のいてしまう関わり方
- 「何でも言って」と言いながら、言われたことを否定する
- 人前で、部下の意見や失敗を取り上げる
- 打ち明けられた話を、本人の了承なくほかの人に話す
- 家族や恋愛など、私生活のことを根掘り葉掘り聞く
- 飲み会への参加を、強くすすめる
- 「最近の若い人は」とひとくくりにする
本音を聞こうとするあまり、必要な注意や指導までしなくなるのも考えものです。上司が何も言わなくなると、部下は「見放された」と感じることもあります。部下の側の受け止め方は、上司が怒らなくなったのは見放されたサイン?本音の見分け方と信頼を取り戻す方法が参考になります。
聞いた話を勝手に広めず、評価にも結びつけない
部下が勇気を出して話したことが、ほかの人に伝わっていた。そうなれば、部下は二度と本音を話さなくなります。チームで共有したほうがよいことは、「この部分は、ほかの人にも伝えていい?」と本人に確かめてからにしましょう。
本音の中に上司への不満があっても、それを評価に結びつけてはいけません。不満を言ってくれる部下は、まだ職場をよくしたいと思っている部下でもあります。
私生活に踏み込みすぎない
仲よくなろうとして、休日の過ごし方や家族、恋愛のことを詳しく聞く上司もいます。けれども、立場が上の人からの質問は、部下にとって断りにくいものです。
相手が不快に感じれば、ハラスメント(嫌がらせ)と受け取られることもあります。私生活の話は、部下が自分から話したときに聞く程度にとどめましょう。
部下の辞めたいサインに気づいたとき
部下の様子から、「もしかして辞めたいのでは」と感じることもあるでしょう。次のような変化が重なっているときは、早めに話を聞く時間をつくることが大切です。
辞めたい気持ちが表れやすい変化
- 先の仕事や、新しい仕事の話に乗ってこない
- 以前は意見を言っていたのに、何も言わなくなった
- 「はい」「わかりました」だけの返事が増えた
- 机の周りや、自分の資料を整理し始めた
- 休みの取り方が、前と変わった
引き止めるより先に、話を聞く
「辞めるつもり?」と問い詰めると、部下は身構えて本音を隠してしまいます。「最近、少し元気がないように見えて気になっていたんだ。何か困っていることはない?」と、心配している気持ちから声をかけましょう。
話を聞くときは、仕事の量、仕事の中身、人間関係、これからの働き方、家庭の事情など、どこに困りごとがあるのかを一緒に整理します。上司の立場で変えられることと、変えられないことがあるので、できない約束はしないことも大切です。
退職を切り出されたら
退職を切り出されたら、驚いても感情的にならず、まずは「話してくれてありがとう」と伝えましょう。そのうえで、理由を聞きます。
引き止めたい気持ちがあれば、正直に一度だけ伝えてかまいません。ただし、部下の決意が固いときは、その気持ちを尊重しましょう。手続きや引き継ぎは、会社の決まりに沿って、人事と相談しながら進めます。気持ちよく送り出すことは、残るメンバーの安心にもつながります。
心や体の不調が心配なときは
眠れていない様子がある、ミスが急に増えた、表情がとても暗いなど、心や体の不調が心配なときは、上司ひとりで抱え込まないでください。本人の気持ちを尊重しながら、社内の産業医や保健師、人事の相談窓口、医療機関につなぐことを考えましょう。
部下から、ほかの社員による嫌がらせやハラスメントの相談を受けたときも、自分だけで解決しようとせず、会社の相談窓口と連携して対応してください。
上司自身が、ひとりで抱え込まないために
部下との関係の悩みは、上司にとっても重いものです。部下には言えず、同僚や自分の上司にも相談しにくい。そんな孤独を感じている人も少なくありません。

社内に、信頼できる先輩の管理職や、人事の相談窓口があれば、まずは話してみましょう。社内の人には話しにくいときは、会社と関係のない第三者に話を聞いてもらうのもひとつの方法です。
よくある質問
飲み会に誘ったほうが、本音を話してくれますか?
お酒の席で打ち解ける人もいますが、お酒が苦手な人や、家庭の事情で参加しにくい人もいます。参加は自由にして、来ない部下を責めないようにしましょう。勤務時間の中で、短い1対1の時間をとるほうが、多くの部下にとって話しやすいものです。
年上の部下には、どう接すればいいですか?
経験に敬意をはらい、「〇〇さんの経験から見て、どう思いますか?」と意見を求めてみましょう。言葉づかいは丁寧にしつつ、上司として決めるべきことは、はっきり伝えて大丈夫です。立場と年齢の両方を大切にする姿勢が、信頼につながります。
本音を聞いたら、上司である自分への不満でした。
まずは「話してくれてありがとう」と伝えましょう。その場で言い訳や反論はせず、直せるところを一つ選んで行動で示します。誤解があると感じたら、日を改めて落ち着いて説明すれば十分です。
本音を話してくれないのは、嫌われているからでしょうか?
本音を言わないことだけで、嫌われているとは限りません。仕事の報告がきちんと来ているか、頼んだことに応じてくれるかを見てみましょう。仕事のやり取りが続いているなら、まだ関係を深めている途中だと考えて大丈夫です。
在宅勤務が多く、部下の様子がわかりません。
顔を合わせる機会が少ないぶん、短い1対1の時間を意識してとりましょう。週に一度、10分だけでも画面越しに話すと、文字だけではわからない様子に気づけます。カメラをつけるかどうかは本人に任せ、ふだんと様子が違うと感じたときは、短く声をかけてみてください。
まとめ
部下の本音がわからないときに、覚えておきたいポイントをまとめます。
- 部下が本音を言わないのは、上司が嫌いだからとは限らない
- 評価への不安、言っても変わらないあきらめ、声のかけにくさが理由のことが多い
- 本音は、報連相・表情・勤務の「いつもとの違い」に表れやすい
- 1対1の時間をとり、否定せずに最後まで聞き、聞いたことに行動で応える
- 面談では「10段階でいうと」「一つだけ」など、答えやすい質問を使う
- 聞いた話を広めない、私生活に踏み込みすぎない
- 辞めたいサインに気づいたら、引き止めより先に話を聞く
部下の本音は、うまい質問よりも「この人になら話しても大丈夫」という安心から生まれます。話しかけられたら手を止めて、顔を上げる。そんな小さなことから始めてみてください。

シンパンくんから
部下のことで悩めるのは、ちゃんと向き合おうとしている証拠だよ。完璧な上司を目指さなくて大丈夫。まずは一人と、5分話すところから始めよう。




