
退職を伝えたあと、迷っていませんか?
- 何日も迷って伝えたのに、「考え直してくれないか」と言われた
- 決めたはずの気持ちが揺らいで、どう返せばいいか困っている
- 「そこまで必要とされていたんだ」と、少しうれしくもある
- 「迷惑をかけてしまう」と、申し訳なさがわいてくる
- 翌日から上司と顔を合わせるのが気まずい
退職を引き止める上司の本音がわからないままだと、残るべきか、どう断ればいいのかも決められず、ひとりで悩んでしまいますよね。
結論
引き止めは評価の表れであることも多い一方で、人手不足や上司自身の立場が理由のことも少なくありません。どちらにしても、判断の決め手は引き止めの言葉ではなく、「残ったら何が変わるのか」です。
辞めたい理由が解決しないとわかったら、お礼を伝えたうえで、意思をはっきり示しましょう。それが、上司との関係を壊さずに次へ進むいちばんの近道です。
この記事でわかること
- 退職を引き止める上司によくある6つの本音
- 引き止めの言葉から、評価か職場の事情かを見分けるポイント
- 引き止めに応じるかどうかを決めるときの考え方
- 気まずくならない切り出し方と、引き止められたときの返し方の例
- 円満に辞めるコツと、辞めさせてもらえないときの相談先
この記事の目次閉じる開く
退職を引き止める上司の本音|よくある6つの理由
退職を告げられたときの上司の気持ちは、ひとつではなく、いくつかが混ざっていることがよくあります。ここでは、よくある本音を6つに分けて見ていきましょう。

あなたの働きを手放したくない
もっともうれしい理由は、あなたの仕事ぶりを高く買っていて、純粋に失いたくないというものです。仕事の正確さや周りへの気配りを、上司がきちんと見ていたからこそ止めたくなります。
「〇〇の案件は、君だから任せられた」「来期はリーダーをお願いしたかった」。こんなふうに、あなたの具体的な仕事や、この先の役割の話が出てくるなら、この本音の可能性が高いです。
日ごろから大事な仕事を任されていたなら、それも期待の表れだったのかもしれません。期待されているときのサインは、上司に期待されているサインの記事でくわしく紹介しています。
人手が足りず、仕事が回らなくなる
職場の人数がぎりぎりで、あなたが抜けると仕事が止まってしまう、という事情もよくあります。このとき上司の頭にあるのは、あなた個人よりも「チームの仕事をどう回すか」です。
「せめて繁忙期が終わるまで」「後任が決まるまで待ってほしい」と、時期や代わりの人の話が中心になるなら、このパターンと考えられます。
人手不足は、本来は会社が手を打つべき問題です。あなたが責任を感じすぎる必要はありません。引き継ぎにできる範囲で協力すれば、それで十分です。
上司自身の評価や立場が気になる
部下が辞めると、上司自身が「部下を育てられなかった」「職場をまとめられていない」と見られないか、心配になることがあります。部下の定着を上司の評価に含めている会社もあります。
この場合、「上にどう説明すればいいのか」「僕の立場も考えてほしい」と、話の中心が上司自身のことになりがちです。少し寂しく感じますが、上司も板ばさみになっていると思えば、気持ちが少し楽になります。
あなたの将来を心配している
本当にあなたのためを思って止める上司もいます。「次の仕事は決まっているの?」「ここで経験を積んでからでも遅くない」という言葉には、辞めたあとに苦労しないかという心配が込められていることがあります。
ただ、上司の思う「あなたのため」が、あなたの望む道と同じとは限りません。アドバイスはありがたく受け取りつつ、最後に決めるのは自分だということは忘れないでください。
突然のことで驚き、とっさに止めている
前ぶれなく退職を伝えられると、上司も動揺します。考えるより先に「ちょっと待って」「急すぎるよ」と口にしてしまうのは、深い意味のない、反射的な引き止めのこともあります。
この場合、数日たってから改めて話すと、「わかった、応援するよ」と落ち着いて受け止めてくれることもあります。最初の反応だけで、上司の本心を決めつけないようにしましょう。
辞める理由を知って、職場を良くしたい
「何が不満だったのか、正直に教えてほしい」と、理由をくわしく聞こうとする上司もいます。条件を変えて残ってもらえないか探りたい、同じ理由でほかの人まで辞めないようにしたい、という気持ちからです。
上司の側から見た「部下が辞めたいときのサイン」は、部下が辞めたいと思っているサインの記事で上司向けにまとめています。相手の立場を想像する手がかりになるかもしれません。

シンパンくんから
引き止められると、うれしい気持ちと申し訳ない気持ちが一緒にくるよね。上司の言葉の「中身」に注目すると、どの本音に近いかが見えてくるよ。
本当に評価されている?引き止めの言葉で見分ける
引き止めが評価からなのか、職場の事情からなのかは、上司の言葉の中身に表れやすいものです。言われたことを思い出して、次の表と見くらべてみてください。

| 上司の言葉 | 本音のヒント | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 「〇〇は君にしかできない」 | 仕事ぶりへの評価 | 残ったら何を任されるか |
| 「後任が決まるまで待って」 | 人手の事情 | いつまで待てばいいか |
| 「上にどう説明すれば…」 | 上司自身の立場 | 退職日をいつにするか |
| 「次は決まっているの?」 | あなたの将来の心配 | 自分の考えが固まっているか |
| 「何が不満だったの?」 | 職場を良くしたい | 不満が本当に解決するか |
評価されている引き止めのサイン
次のような様子が見られるなら、あなたの働きを認めたうえでの引き止めである可能性が高いでしょう。
評価されている引き止めによくあるサイン
- あなたがした具体的な仕事を挙げて、お礼を言ってくれる
- 残った場合の役割や、任せたい仕事の話が出る
- 給与や働き方の見直しを、具体的に考えると言ってくれる
- 辞める理由を最後まで聞き、否定せずに受け止めてくれる
- さらに上の上司も交えて、話を聞く場をつくってくれる
職場の事情が中心の引き止めのサイン
反対に、「今は困る」「人が足りない」と時期や人数の話ばかりで、あなた自身の話がほとんど出てこない場合は、職場の事情が中心かもしれません。
その場合も、あなたが必要とされていないわけではありません。ただ、引き止めに応じても職場の状況が変わらなければ、同じ悩みがくり返されることになります。
今の職場で自分がどう見られているのか気になるときは、いくつかの質問で確かめられる本音診断もあります。
引き止めに応じるか決めるときのポイント
引き止められて気持ちが揺れるのは、それだけまじめに働いてきたからです。残るか辞めるか迷ったときは、次の3つの点から考えてみましょう。
辞めたい理由が、残ることで解決するか
まず、辞めたいと思った理由を紙に書き出してみましょう。給与、仕事の量、人間関係、挑戦したい仕事、家庭の事情など、理由がひとつとは限りません。
そのうえで、上司の提案でその理由がどこまで解決するかを考えます。辞めたい理由そのものが変わらない限り、残っても同じ悩みに戻ってしまいやすいものです。
その約束は、口だけで終わらないか
「来年は昇給させる」「希望の部署に移れるようにする」といった約束は、うれしい反面、実現しないこともあります。上司ひとりでは決められない内容も多いからです。
残る方向で考えるなら、「いつまでに」「誰が決めるのか」を確かめておきましょう。給与や勤務時間のような条件は、書面で示してもらえるかも聞いておくと安心です。
一度残ったあとの自分を想像する
いったん退職を申し出てから残ると、周りの見る目が少し変わることもあります。「また辞めると言い出すかもしれない」と思われて、大きな仕事を任されにくくなる場合もあるのです。
もちろん、残ったことで信頼が深まる人もいます。半年後、一年後の自分を思い浮かべて、「残ってよかった」と思えそうかどうかを考えてみてください。
本当に迷うなら、返事の期限を決めて持ち帰る
上司の提案を聞いて、気持ちが本当に揺れているなら、その場で答えを出さなくてもかまいません。ただし、いつまでに返事をするかは自分から伝えましょう。
- 「ありがたいお話なので、週明けまで考えさせてください」
- 「家族とも相談して、金曜日にお返事します」
期限を決めずに持ち帰ると、話がうやむやになり、引き止めが長引く原因になります。考える日を決めて、そのあいだに先ほどの3つの点を落ち着いて見直してみてください。

引き止められたときにやってはいけないこと
引き止めの場では、気まずさから、言わなくていいことまで口にしてしまいがちです。あとで関係がこじれないよう、次のことは避けましょう。
やってはいけないこと
- 職場や上司への不満を、ここぞとばかりに並べる
- 迷っていないのに、その場しのぎで「考えておきます」と答える
- 上司より先に、同僚へ退職の話を広めてしまう
- 「とにかく辞めます」とだけ言って、話し合いを打ち切る
- 退職が決まったとたんに、仕事や引き継ぎの手を抜く
とくに気をつけたいのが、あいまいな返事です。迷いがないのに「考えておきます」と答えると、上司は「まだ残ってくれるかも」と期待して、引き止めが長引いてしまいます。
不満を伝えること自体は悪いことではありません。ただ、感情のままに並べると、残りの日々がとても居心地の悪いものになります。伝えるなら、直してほしい点を1〜2個にしぼり、落ち着いた言葉で。
気まずくならない伝え方と、最後まで円満に過ごす方法
ここからは、退職の切り出し方から最終日まで、場面ごとの伝え方を紹介します。言葉の例は、自分の状況に合わせて言いかえて使ってください。

切り出すときは二人きりの時間をもらう
退職の話は、まず直属の上司に口頭で伝えるのが基本です。忙しい時間帯や人前は避けて、「ご相談したいことがあるので、15分ほどお時間をいただけますか」と先に時間をとってもらいましょう。
いつまでに申し出るかは、就業規則に書かれていることがあるので、事前に確かめておきます。引き継ぎにかかる時間も考えて、余裕を持って伝えると、上司も受け止めやすくなります。
辞める理由は前向きに、短く
辞める理由は、職場への不満よりも、自分のこれからに目を向けた言い方にすると角が立ちにくくなります。うそをつく必要はありませんが、すべてを話す必要もありません。
- 「前から関心のあった分野に、挑戦したいと考えるようになりました」
- 「家族の事情で、働き方を見直すことにしました」
- 「自分なりに時間をかけて考え、決めたことです」
「もう決めました」という意思と、「お世話になりました」という感謝は、セットで伝えるのがコツです。
引き止められたときの返し方
引き止められたら、まず上司の言葉を受け止めてから、気持ちが変わらないことを伝えます。否定から入らないだけで、話し合いの空気はずいぶんやわらぎます。
急な話だね。正直、君が抜けるとかなり困るんだよ。
そう言っていただけて、本当にありがたいです。
ただ、時間をかけて決めたことなので、気持ちは変わりません。
引き継ぎは責任を持ってやりますので、進め方をご相談させてください。
条件の見直しを提案されても、気持ちが変わらないこともあるでしょう。そんなときは「ご提案はうれしいのですが、条件ではなく、これからの進み方の問題なんです」と伝えると、上司も納得しやすくなります。
何度も引き止められるなら退職日を示す
話し合いが何度も続くときは、「〇月〇日で退職したいと考えています。最終の出社日や、残っている有給休暇のことも相談させてください」と、具体的な日付を示しましょう。日付が出ると、話が「辞めるかどうか」から「どう引き継ぐか」へ移りやすくなります。
会社の決まりに沿って退職届を出すのも、意思をはっきり伝える方法です。直属の上司と話が進まないときは、さらに上の上司や人事の担当者に相談してもかまいません。
退職願と退職届のちがい
退職願は「辞めさせてください」とお願いする書類で、退職届は「辞めます」と伝える書類です。会社ごとに決まった書式や出し方があることも多いので、人事の担当者に確かめておくと安心です。
引き継ぎと最後のあいさつを丁寧に
円満に辞められるかどうかは、最後の数週間の過ごし方で大きく変わります。担当している仕事の一覧や手順、関係者の連絡先などは、早めに資料にまとめておきましょう。
周りの人に伝えるタイミングは、上司と相談して決めると安心です。最終日には、「〇〇さんに教わったことは、次の職場でも生かします」のように、具体的なひと言を添えてあいさつをしましょう。

シンパンくんから
辞めると伝えたあとも、いつもどおり丁寧に働いていれば、ちゃんと見てくれている人はいるよ。最後の日まで、自分らしく過ごそうね。
辞めさせてもらえないときは公的な窓口へ
引き止めの中には、話し合いの範囲をこえてしまっているものもあります。次のようなことが続くときは、ひとりで我慢しないでください。
- 退職届を受け取ってもらえない、何度伝えても「認めない」と言われる
- 「辞めるなら損害賠償を請求する」とおどされる
- 退職を伝えてから、どなられる、人前で責められる
- 残っている有給休暇を使わせてもらえない
言われた日時と言葉、その場にいた人を、できるだけそのまま書き留めておきましょう。人事部門や社内の相談窓口のほか、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど、公的な窓口でも相談できます。
退職のルールは、正社員か、期間の決まった契約かなど、働き方によっても変わります。自分の場合はどうなるのかを、窓口で確かめておくと安心です。
夜に眠れない、食事がのどを通らないといった状態が続くなら、医療機関も頼ってください。
残るか辞めるか、気持ちが決まらないときは
上司の言葉を聞いて、残る理由も辞める理由もあるように思え、決めきれないこともあります。毎日顔を合わせる職場の人には、なかなか打ち明けられない悩みです。
身近な家族や友達は、あなたを思うからこそ「もったいない」「早く辞めたら」と自分の意見を言いがちで、かえって迷ってしまうこともあります。利害のない立場の人に聞いてもらうと、自分が本当はどうしたいのかが、少しずつ言葉になっていきます。
よくある質問
引き止められたのは、評価されているからですか?
評価されている場合も多いですが、人手不足や上司自身の立場が理由のこともあります。あなたの具体的な仕事や、残った場合の役割の話が出るなら、評価されている可能性が高いでしょう。
一度引き止めに応じたら、もう辞めにくくなりますか?
多少の気まずさはあるかもしれませんが、辞められなくなるわけではありません。残ると決めるときに「何が変わるか」「いつ見直すか」を上司と確かめておくと、もう一度考えるときの手がかりになります。
退職を伝えてから、上司の態度が冷たくなりました。
驚きや寂しさ、引き継ぎへの不安から、態度が硬くなる上司もいます。仕事のやり取りは丁寧に続けましょう。冷たさが続いてつらいときの受け止め方は、上司が自分にだけ冷たい理由をまとめた記事で紹介しています。
退職を伝えたら、上司に注意されなくなりました。
辞める人に新しいことを教えるのは控えようと考えて、注意や指導が減る上司もいます。見放されたと考えなくて大丈夫です。退職を伝える前から気になっていたなら、上司が怒らなくなったときの記事も読んでみてください。
本当の退職理由は言うべきですか?
すべてを話す必要はありません。うそはつかず、前向きな言い方で伝えれば十分です。職場を良くするために聞きたいと言われたら、直してほしい点を1〜2個にしぼって伝えましょう。
まとめ
退職を引き止められると、気持ちが揺れて当然です。最後に、この記事のポイントをふり返りましょう。
- 引き止める本音は、評価、人手不足、上司の立場、将来の心配、驚き、職場の改善などさまざま
- 具体的な仕事や今後の役割の話が出るなら、評価されている可能性が高い
- 残るかどうかは、辞めたい理由が解決するか、約束が確かかで決める
- 迷いがないなら、感謝を伝えたうえで意思をはっきり示す
- 退職日を示し、引き継ぎを丁寧にすると円満に辞めやすい
- 辞めさせてもらえない、おどされるときは公的な窓口に相談する
引き止めの言葉に感謝しつつも、自分の働き方を決めるのは自分です。どちらを選んでも、ここまで真剣に働いてきた経験は、これからのあなたの力になります。




