こんなことで、疲れていませんか?

  • 定年を迎えてから、朝も昼も夜も、家にはいつも夫がいる
  • お昼ごはんの時間が近づくたびに、気が重くなる
  • 買い物に出ようとすると「どこへ行くんだ」と聞かれる
  • 「のんびりできるはずなのに、どうしてこんなに疲れるの」と思う

定年後の夫の本音がわからないまま、毎日顔を合わせるのはしんどいものです。長年かけて整えてきた暮らしのリズムが崩れれば、疲れがたまるのは当然のこと。暮らしが大きく変わって戸惑っているのは、夫も同じです。

結論

家にずっといる夫が、妻を困らせたくてそうしているとは限りません。仕事という居場所と役目が急になくなり、毎日をどう過ごせばいいのか、本人もわからずにいるのかもしれません。

だからこそ、夫を変えようとするより、ふたりの「時間」と「役割」を新しく決め直すことが、いちばんの近道になります。

この記事でわかること

  • 定年後の夫が家にいたがる5つの本音
  • 妻が息苦しさを感じやすい場面と、我慢しすぎのサイン
  • 夫の居場所づくりで、やってはいけないこと
  • ひとりの時間の作り方と、家事の分け方
  • 角を立てずに気持ちを伝える声のかけ方の例
この記事の目次閉じる開く
  1. 定年後の夫の本音|家にいたがる5つの気持ち
    1. 1. 会社のほかに、行く場所が見つからない
    2. 2. 役目がなくなり、自分の値打ちがわからない
    3. 3. 寂しさを言えず、妻に頼りたい
    4. 4. 長く働いたのだから、しばらくは休んでいたい
    5. 5. これからのお金や体のことが心配
  2. 妻が息苦しくなりやすい場面と、その理由
    1. 我慢しすぎのサインに気づいて
  3. 夫の居場所づくりで、やってはいけないこと
    1. 突き放されると、ますます外へ出にくくなる
    2. 黙って引き受け続けるのも、ふたりのためにならない
  4. ふたりで心地よく暮らすコツ|時間と家事の分け方
    1. それぞれの「ひとりの時間」を予定に組み込む
    2. お昼ごはんは「作らない日」を決めておく
    3. 家事は「手伝い」ではなく「担当」で分ける
    4. 一日に一度、ふたりで話す時間をつくる
    5. 夫の外の居場所は、押しつけずに一緒に探す
  5. 角を立てずに伝える声のかけ方|場面別の例
    1. 自分の時間がほしいと伝えるとき
    2. 家事を任せたいとき
    3. 口出しをやめてほしいとき
    4. 夫の寂しさに気づいたとき
  6. それでも夫の気持ちがわからないときは
  7. よくある質問
  8. まとめ

定年後の夫の本音|家にいたがる5つの気持ち

一日じゅう家にいる夫の姿は、妻から見ると「何もしていない」ように映るかもしれません。けれど、その胸の内には、言葉にしにくい気持ちがいくつも重なっていることがあります。

1. 会社のほかに、行く場所が見つからない

長い年月、平日の昼間を職場で過ごしてきた夫にとって、家は「夜と週末に帰る場所」でした。通う先がなくなった今、一日をどこで過ごせばいいのか、見当がつかなくなっているのです。

たとえば、朝ごはんのあとに新聞を読み終えると、そのままテレビの前から動かない。散歩に出ても、すぐに戻ってきてしまう。そんな様子は、怠けているというより、行き先を決められずに戸惑っている姿なのかもしれません。

仕事以外の知り合いや、続けてきた趣味が少ない人ほど、この戸惑いは大きくなりがちです。

2. 役目がなくなり、自分の値打ちがわからない

働いていたころは、肩書きや任された仕事が、そのまま自信の支えになっていた人も多いものです。定年でそれを手放すと、「自分はもう誰の役にも立っていないのでは」という思いがわいてくることがあります。

台所の使い方に口を出したり、買ってきた物の値段にまで意見したりするのは、家の中で自分の出番を探しているサインのこともあります。やり方は困りものでも、根っこには「役に立ちたい」という気持ちが隠れている場合があるのです。

3. 寂しさを言えず、妻に頼りたい

職場の人づきあいがなくなると、毎日言葉を交わす相手が急に減ります。けれど、その心細さを「寂しい」と素直に口にできる男性は、そう多くありません。

妻の買い物についてきたがる、出かける支度をしていると「何時に帰る?」と聞く。うっとうしく感じるのは無理もありませんが、その裏に、ひとりで家に残される心細さがあることもあります。

「お茶」「あれはどこだ」と、何かにつけて妻を呼ぶのも、そばに頼れる人がいると安心できるからかもしれません。長いあいだ家のことを妻に任せてきた夫ほど、困ったときに真っ先に頼る相手は妻なのです。

4. 長く働いたのだから、しばらくは休んでいたい

「何十年も働いてきたのだから、少しくらい家でゆっくりしても罰は当たらない」。そう考えて、あえて予定を入れずに過ごしている人もいます。

本人にとっては、がんばってきた自分へのごほうびの休みです。ただ、妻にとっては家にいる人がひとり増えるぶん、食事の支度や気づかいも増えます。ここで、ふたりの気持ちにずれが生まれやすくなるのです。

5. これからのお金や体のことが心配

収入が変わる、体力が落ちてきた、親の介護が気がかり。定年のころは、心配ごとが重なりやすい時期でもあります。

口数が減ったり、急に電気代や食費に細かくなったりするのは、先行きの不安をひとりで抱えているからかもしれません。お金への厳しさが目立つときは、お金に細かい夫の本音もあわせて読んでみてください。

二人きりの時間
家にいる夫の胸の内には、言葉にしにくい思いがあります

シンパンくんからあなたへ

ずっと家にいるのは、見張りたいからじゃなくて、ほかに行き先が思いつかないから…ということも多いんだ。

妻が息苦しくなりやすい場面と、その理由

夫の本音がわかっても、毎日いっしょにいる妻がしんどいのは事実です。どんな場面で気持ちが重くなりやすいのか、夫の側の思いと並べて見てみましょう。

よくある場面妻が感じやすいこと夫の側の思い
毎日三食の支度台所から離れられない用意してもらうのが当たり前
外出先を聞かれる見張られているよう置いていかれるのが心細い
家事に口を出される自分のやり方を否定された手伝っているつもり
一日じゅうテレビの音自分の時間も場所もない時間のつぶし方がわからない
何でも「どうする?」決めごとを全部任される妻に合わせているつもり

妻のほうにも、何十年もかけて自分のペースで回してきた昼間の時間があります。そこへ急に人がずっといるようになるのですから、窮屈に感じたり、ストレスがたまったりするのは当然のことです。

我慢しすぎのサインに気づいて

「夫も大変なのだから」と気持ちを押し込めているうちに、自分の心がすり減っていることもあります。最近の自分の様子と、照らし合わせてみてください。

我慢がたまっているサイン

  • 夫が出かけると、ほっと肩の力が抜ける
  • 夫の足音や咳ばらいが、前より気になる
  • 自分が出かけるのに、理由や言い訳を考えてしまう
  • 昼ごはんの献立を考えるのが憂うつ
  • 友達と会ったり、趣味に出かけたりする回数が減った

いくつも当てはまるなら、あなたの心が狭いのではありません。暮らし方を決め直す時期が来た、という合図です。

頭痛が続く、夜に眠れないなど、体に不調が出ているときは、ひとりで抱えずに医療機関に相談してください。

家事の負担が偏っている
家にいる人が増えれば、家事も気づかいも増えます

夫の居場所づくりで、やってはいけないこと

毎日顔を合わせていれば、思わずきつい一言が出てしまう日もあるでしょう。けれど、次のような接し方は、夫をかえって家に閉じこもらせてしまうことがあります。

やってはいけないこと

  • 「邪魔」「家にいないで」と突き放す
  • 夫が出かける予定を、相談なしに決めて押しつける
  • 働いていたころの姿と比べて、今の夫を責める
  • 不満を黙ってため込み、ある日いっぺんにぶつける
  • 夫の分の家事も、何も言わずに全部引き受け続ける

突き放されると、ますます外へ出にくくなる

自信をなくしている時期に「邪魔」と言われると、夫は「家にも居場所がない」と感じて、かえってふさぎ込んでしまうことがあります。外に出る気力そのものが、しぼんでしまうのです。

外での過ごし方をすすめるときも、命令ではなく「一緒に探してみない?」という誘い方のほうが、夫は腰を上げやすくなります。

黙って引き受け続けるのも、ふたりのためにならない

反対に、何も言わずに三食を用意し、夫の身の回りの世話を全部引き受けていると、夫は「これで問題ない」と思い込みます。妻だけが疲れていき、ある日がまんの糸が切れてしまうかもしれません。

不満が小さいうちに、短い言葉で伝えておくことが、これから長く続くふたりの暮らしを、おだやかに保つ助けになります。

ふたりで心地よく暮らすコツ|時間と家事の分け方

ここからは、毎日をいっしょに過ごす夫婦が、お互いに息をつけるようにするための工夫を紹介します。全部でなくてかまいません。取り入れやすいものから試してみてください。

それぞれの「ひとりの時間」を予定に組み込む

おすすめは、週のうち何日かを「それぞれが自由に過ごす日」と決めてしまうことです。たとえば、火曜と金曜の午前は妻が出かける日、ほかの日の午後は夫が散歩や趣味に出る時間、というように決めます。

家の中でも、それぞれがくつろげる場所を分けておくと楽になります。夫は和室や書斎、妻はリビングというように、同じ家にいても一日じゅう顔を突き合わせずにすむ工夫です。

自分の時間を楽しむ
それぞれが自分の時間を楽しめると、ふたりの時間もおだやかになります

お昼ごはんは「作らない日」を決めておく

毎日の三食の支度は、妻の気疲れの大きなもとになりがちです。昼は各自で好きなものを食べる日、夫が作る日、外で食べる日などを決めて、作らない日をつくりましょう。

料理をしたことがない夫でも、麺をゆでる、ごはんに作り置きのおかずを添えるといった簡単なことから始められます。最初は口を出したくなっても、できあがりを一緒に食べて「おいしいね」と言うことを優先してください。

家事は「手伝い」ではなく「担当」で分ける

「手伝って」と頼むと、夫はいつまでも手伝う側のままです。ゴミ出し、お風呂掃除、朝のコーヒー、庭の手入れなど、夫が最後まで受け持つ家事を決めてしまいましょう。

任せたら、やり方が自分と違っても、しばらくは口を出さずに見守るのがこつです。仕事をしてきた人ほど、任された役目があると張り合いが生まれ、生活にもリズムが出てきます。

一日に一度、ふたりで話す時間をつくる

一日じゅう同じ家にいるのに、交わす言葉は「ごはんよ」「お風呂がわいたよ」だけ。そんな夫婦も珍しくありません。そばにいる時間が長いことと、気持ちが通い合っていることは、また別の話です。

おすすめは、時間と場所を決めて、ふたりで話す習慣をつくることです。午後のお茶の時間や夕方の散歩など、短くてかまいません。庭の花のこと、テレビで見たニュース、子どもや孫の近況など、話題は何でもよいのです。

ずっと一緒にいるからこそ、「同じ家にいる時間」と「向き合って話す時間」を分けて考えると、毎日にほどよいめりはりが生まれます。

夫の外の居場所は、押しつけずに一緒に探す

自治体の広報誌や公民館、図書館の掲示板には、講座や趣味の集まり、地域のボランティアなどの案内が載っていることがあります。夫が昔好きだったことや、やってみたいと話していたことにつながりそうなものを、一緒に眺めてみましょう。

知らない場にひとりで行くのが苦手な人には、最初の一回だけ付き添うのも一つの方法です。外で出番が見つかると、家での口出しが自然と減ることもあります。夢中になりすぎて家のことを顧みなくなったときは、趣味ばかりの夫の本音が参考になります。

シンパンくんからあなたへ

いきなり「外に出て」と言うより、「この講座、あなた向きじゃない?」って一緒に見るほうが、案外うまくいくんだよ。

角を立てずに伝える声のかけ方|場面別の例

暮らし方を変えたいと思っても、どう切り出せばいいか迷いますよね。ここでは、夫の気持ちを傷つけずに伝える言い方の例を、場面ごとに紹介します。

短い会話から始める
「私も」「あなたも」と、ふたりのための提案に

自分の時間がほしいと伝えるとき

責める言い方ではなく、「私も」「あなたも」と、ふたりのための提案として伝えると、受け入れてもらいやすくなります。

自分の時間がほしいと伝える会話の例
あなた

これからは、週に2日くらい、午前中は出かける日にしたいの

あなた

あなたも、その日は好きなことをする日にしない?

相手

別にいいけど、どこに行くんだ

あなた

体操の教室と、友達とお茶。帰る時間はカレンダーに書いておくね

行き先や帰る時間を先に伝えておくと、心配性の夫も落ち着きやすくなります。

家事を任せたいとき

「やって」ではなく「お願いしたい」「助かる」という言葉を添えると、夫も引き受けやすくなります。

家事を任せたいときの会話の例
あなた

ゴミ出しとお風呂掃除、これからはあなたにお願いしてもいい?

相手

やり方がよくわからないんだが

あなた

最初の1回だけ一緒にやろう。あとはあなたのやり方でいいから

あなた

やってもらえると、本当に助かるの

口出しをやめてほしいとき

その場で言い返すと、言い争いになりがちです。落ち着いた時間に、持ち場を分ける形で伝えてみましょう。

  • 「台所は私に任せてね。そのかわり、庭のことはあなたにお任せしたいな」
  • 「気づいたことがあったら、その場じゃなくて、夜にまとめて教えてもらえる?」

夫の寂しさに気づいたとき

夫が退屈そうにしているときは、責めるより先に、気持ちを気にかける言葉を一つかけてみてください。

  • 「最近、話し相手が減って退屈してない?」
  • 「前に行きたいって言ってた〇〇、今度一緒に行ってみようか」

話しかけても返事が短く、夫婦の会話そのものが少なくなっているときは、夫と会話がない理由と、会話を取り戻すコツも役に立ちます。

反対に、夫のほうが「ひとりにしてくれ」と部屋にこもりがちなら、「ひとりになりたい」と言う夫の本音を読んでみてください。

夫の胸の内をもう少し整理してみたいときは、本音診断で今の夫の様子を振り返ってみるのもおすすめです。

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それでも夫の気持ちがわからないときは

工夫をしても夫が変わらない、話しかけても取り合ってもらえない。あるいは、そもそも話を切り出す気力がわかない。そんな時期もあるでしょう。夫が何を考えているのかを知るための聞き方は、夫の本音がわからないときの聞き出し方にもまとめています。

長年連れ添った夫婦の悩みは、子どもや友達にはかえって話しにくいものです。ひとりで考え続けて苦しくなったら、身内ではない第三者に話を聞いてもらうことで、気持ちがほどけていくことがあります。

よくある質問

定年後の夫が一日じゅう家にいて、気疲れで体調まで崩れそうです。

まずは、週に何日かでも自分ひとりで過ごせる時間を確保してください。家の外に出る予定を先に入れてしまうのも一つの方法です。頭痛や不眠などの不調が続くときは、我慢せずに医療機関に相談しましょう。

夫に趣味を持ってほしいのですが、何をすすめても乗り気になりません。

新しいことより、昔好きだったことや仕事で得意だったことに近いもののほうが始めやすいものです。すぐに見つからなくても、散歩の距離をのばす、図書館に通うなど、毎日の小さな外出から習慣にしていきましょう。

夫がどこへ行くにもついてきて、ひとりになれません。

夫は、家にひとりで残される心細さを感じているのかもしれません。「この日は友達と会うから、ひとりで行ってくるね」と前もって伝え、そのかわりに「週末は一緒に〇〇へ行こう」と、ふたりで出かける日も約束しておくと、夫も納得しやすくなります。

昼ごはんを毎日作るのがつらいと、どう伝えればいいですか?

「作りたくない」ではなく、「週に何日かは各自で食べる日にしたい」と、決めごとの提案として伝えるのがおすすめです。夫が作る日を決めて、簡単な一品から一緒に始めるのもよいでしょう。

再雇用で働き始めた夫が、前より不機嫌になった気がします。

同じ職場でも立場や仕事の中身が変わり、戸惑いや悔しさを抱えている人は少なくありません。帰宅後すぐに話を聞き出そうとせず、「おつかれさま」とねぎらって、夫が話したくなるのを待ってみてください。

まとめ

  • 定年後の夫が家にいるのは、居場所のなさ、役目を失った寂しさ、妻に頼りたい気持ち、休みたい気持ち、先行きの不安が重なっていることもある
  • 妻が息苦しく感じるのは自然なこと。我慢がたまっているサインに早めに気づく
  • 「邪魔」と突き放すのも、黙って全部引き受けるのも、ふたりのためにならない
  • ひとりの時間、ふたりで話す時間、昼ごはんを作らない日、夫が受け持つ家事を決めておく
  • 気持ちは「ふたりのための提案」として、責めずに伝える

定年後の暮らしは、夫婦にとって新しい始まりでもあります。最初からうまくいかなくて当たり前。少しずつ決めごとを足しながら、ふたりにちょうどいい距離を見つけていきましょう。

シンパンくんからあなたへ

長いあいだ家族を支えてきたあなたも、これからは自分の時間を楽しんでいいんだよ。ふたりのペースを、ゆっくり作っていこうね。